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ロシア語動詞 стать の4つの語法。述語副詞の解説 ~ロシア語練習問題~

こんにちは、中島です。
 
前回に引き続き、今回は動詞 стать (~になる/~し始める)の語法に関する問題をご用意しました。英語のbecomeが最重要単語の1つであるのと同じく、стать も超頻出単語です。
 
 
【問題NO.3:問題編】
次の各(    )内にはいずれも、стать(完了体) / становиться(不完了体) が入る。
いずれかの動詞を文脈に沿うように変化させて答えなさい。(レベル:ロシア語能力検定試験3級程度)
 
1) Он хочет (      ) футболистом. 彼は将来サッカー選手になりたいと思っている。
2) Она недавно (       ) курить. 彼女は最近たばこを吸うようになった。
3) (     ) известно, что коронавирус может передаваться через деньги.  コロナウイルスはお金を介して感染する可能性があることがわかった。
4) Мне (       ) весело. 私は愉快な気分になった。
5) Маша (      ) весёлой и активной. マーシャは快活で積極的になった。
6) У нас (       ) жарко.  私たちのところでは暑くなってきています。
7) С каждым днём ситуация (     ) хуже. 日を追うごとに状況は悪化している。 
 

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【問題NO.3:解答・解説編】
<<要点>>
完了体動詞 стать には「~になる」や「~し始める」という意味があり、ペアとなる不完了体動詞は становиться です。
不完了体のニュアンスとしては、原則として「~になりつつある」という動作の過程を暗示しています。 
この動詞は以下の4つ(①~④)の語法パターンがあります。問題文の解答を含めながら、解説していきます。
 
① стать + 造格:(造)になる。
 
造格部分には形容詞や名詞が入ります。
例) Она стала красивой женщиной. 彼女は美しい女性になった。
例) Она стала красивой. 彼女は美しくなった。(красивая の造格変化)
 
問題文の中で、①のパターンに当てはまるのは 1)、5) です。
1) Он хочет ( стать ) футболистом. 彼は将来サッカー選手になりたいと思っている。
5) Маша ( стала ) весёлой и активной. マーシャは快活で積極的になった。
 
 
② стать + 不完了体動詞の原形:~し始める。
 
動詞の原形を後続させることで、「~し始める」という動作の開始を表します。
動作が継続されることが予想されるため、動詞は不完了体となります。  
 
問題文の中で、②のパターンに当てはまるのは 2) です。
2) Она недавно ( стала ) курить. 彼女は最近たばこを吸うようになった。
 
 
③ стать + (述語)副詞:(副)になる。
 
ふつう、副詞は動詞や形容詞などをあくまでも飾り立てるための品詞です。
例えば、хорошо (上手に)、очень (とても)などです。
ところが、形は副詞ですが、その文章のメイン(述語)となるような品詞があり、これを述語副詞といいます。
 
【述語副詞の例】
◆ Там жарко. あそこは暑い。
◆ Трудно ходить без помощи. 援助なしでの歩行は困難だ。
 
さて、述語副詞には「主格の主語が存在しない」という重要な規則があります。
仮に主語(動作主)が存在する場合でも、与格になります。
上の2つの例文に主語(私)をつけてみます。
 
◆ Мне там жарко. 私にとってあそこは暑い。
◆ Мне трудно ходить без помощи. 私は援助なしでの歩行は困難だ。
 
このようになります。
「暑い」のも「難しい」のも、”私”自身の性質を表しているわけではないので、
少なくとも主格にはならないという理屈は通ります。
 
動詞の大原則として、「動詞は主格の主語の性・数に応じて変化」します。
ですが、上記の通り、述語副詞が用いられる文においては主格は存在しませんので、
仮に文中に動詞を挿入したい場合、この大原則は崩れてしまいます。
そう言った場合は、仮の状態として、その動詞の変化は三人称・中性単数の変化に準じます。
上記2個の例文に動詞 стать をさらに加えてみます。
 
◆ Мне стало там жарко. 私にとってあそこは暑くなった。
◆ Мне стало трудно ходить без помощи. 私は援助なしでの歩行が困難になった。
 
стать の過去形は中性単数の形に変化しています。
 
問題文の中で、③のパターンに当てはまるのは 3)、 4)、6) です。
3) ( стало ) известно, что коронавирус может передаваться через деньги.  コロナウイルスはお金を介して感染する可能性があることがわかった。
4) Мне ( стало ) весело. 私は愉快な気分になった。
6) У нас ( становится ) жарко.  私たちのところでは暑くなってきています。
 
6) については、完全に”暑くなった”わけではないので、不完了体動詞 становиться を用い、
三人称・中性単数の変化にすることが要求されます。
 
 
4) と5)の весёлый に関してですが、一般的に、形容詞が人(や動物)の性格・性質を表す場合、主語は主格になり、
その人が客体から受け取る感覚として表される形容詞の場合は、主語は与格になります。
 
例) Он веселый. 彼は愉快だ。 
例) Ему весело. 彼は愉快な気分だ。
例) Он сложный человек. 彼は気難しい人だ。
例) Ему сложно понять её. 彼にとって、彼女を理解することは難しい。
 
 
④ стать + 副詞・形容詞の比較級:ますます~になる。
 
副詞・形容詞を比較級にし、стать を文中に挿入することで、
「ますます~になった」という意味になります。
過去に比べると、ある性質が一層強みを帯びるようになるということです。
 
【副詞の比較級を用いた例】
Мы стали общаться чаще. 私たちは一層頻繁に連絡を取るようになった。
чаще は 副詞 часто の比較級です。
 
【形容詞の比較級を用いた例】
Она стала красивее.  彼女はますます美しくなった。
 
問題文の中で、④のパターンに当てはまるのは 7)です。
 
7) С каждым днём ситуация ( становится ) хуже. 日を追うごとに状況は悪化している。 
хуже は плохой の比較級です。
 
以上です。ありがとうございました。
 

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