現役ロシア語講師によるロシア語勉強法

~ロシア語ガチ勢のためのブログ~

外国語の習得方法について (読解・聴取編)

当記事を覗いていただき、ありがとうございます。

中島です。

 

前回の記事では、語学能力の4要素(読解・聴取・作文・発話 能力)を習得していく為には、まずそれらの縁の下の大きな土台となる文法事項をきっちりと勉強していくことが肝要であるということを説明しました。

 

本日はこの文法の重要性を織り交ぜながら、①読解能力と②聴取能力向上へ向けた具体的な学習法を説明していきたいと思います。

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読解能力向上のための勉強指針

 

もし、あなたが全くの語学初学者の場合、いきなり英作文やロシア語作文の訓練を始めることは得策ではありません。私たち日本語話者は、単語・フレーズの知識量、作文能力などの全てにおいて、圧倒的に外国語よりも日本語の方が優れています。ある外国語の初学者にとって、いきなり外国語をアウトプット(頭に浮かんだ思考を実際に口に出したり、書いたりすること)する訓練は非常にハードルが高いものです。

 

ですので、まず初めは、外国語を日本語に訳す練習から始めると良いでしょう。読解とは何も、長い文章や本の翻訳だけではなく、短い例文の日本語訳をも含みます。

 

● 短い例文を訳す訓練

前回より、文法の学習が全てに優先すると書きました。世の中には様々な文法書や語学の入門書が売られていますが、良書ほど文法事項の項目ごとに例文が豊富に散りばめられているはずです。従って、まず手始めに、各文法事項を学習する度に、それらに付随している短い例文を丁寧に読み込んでいく作業の繰り返しが効果的です。

 

英語の文法書の「受動態の現在形」を解説している項目では、およそ "be動詞 + being + 過去分詞"という文の骨格を成す文法が書かれていると思いますが、その具体例として、仮に

Our house is being painted.

という例文が記載されていれば、これを見落とさず、背後にある文法事項をしっかりと理解したうえで、自分でも日本語に直すという作業を繰り返していくことが重要となります。一冊の文法書に記載されている数多くの例文を毎回丁寧に訳していけば、それだけでも相当な読解力が向上しているはずです。

 

 長い文章を訳す訓練について

長文の読解について、世の中には難解であったり専門的であったりする文章が無数に存在します。確かに、文法を一通り学習し終えたら、次に読解能力の訓練に入るべきと私は書きましたが、長文読解も踏み込めばいくらでもその深みに入っていくことになります。そうなると、読解能力ばかりが突出していき、それ以降のステップ(聴取・作文・発話能力の向上)が停滞しかねません。

 

ですので、まずは文法書や辞書に記載されている短めの基本的な例文で読解の勉強をしたら、早速次の段階である「聴取能力」に進んで行くことが良いと思います。

 

 勿論、他のステップの学習を自分なりに一通りコンプリートしたら、より高レベルな長い文章の読解にどんどん挑戦していくことも大事です。政治や経済、スポーツ関連等のニュース記事、哲学、芸術、医療関連など色とりどりの専門分野の長文に向かっていけばその分だけ実力は培われていきます。その際、大切なことは、自分の興味のある分野のみを局所的に勉強するのではなく、苦手な分野など様々な分野にチャレンジし、より広範囲な教養を伸ばしていくことです。

 

なぜなら、あらゆる言語において、各専門分野で使われる単語やフレーズの種類はある程度固定されており、一つの分野のみをひたすら勉強し続けていけば、その分野で頻出する特殊な言葉のみを覚えていくことになり、自分のボキャブラリーや知識の幅を拡大させることができなくなるからです。

 

以上の2段落の内容は、「読解能力」だけではなく他のステップでも全く同じことが言えます。

 

聴取(リスニング)能力向上のための勉強指針

 

「聴取能力」の学習段階が「読解能力」の段階よりも後にくるのは、前者の方により高いレベルの能力が求められるからです。

 

ラジオニュースであれ、ネイティブとの会話であれ、リスニングで流れてくる音声の内容をほぼ一瞬にして頭の中で(時には要約しながら)処理しなければなりません。目で文頭に戻りながら自分のペースで何度も再読できる「読解能力」とのレベルの違いはこの点にあります。

 

このことから、現在自分が目で追って読解できる程度のテキストの内容よりも低いレベルの内容のものしか耳では聴き取ることはできないと言えます。ですので、文法と読解能力のしっかりとした基礎作りが聴取能力に先行するのです。ただやみくもに外国語のニュースをひたすら多聴し続けても、そこに内容の理解が伴わなければ、いつまでたっても聴取能力の向上は見込めないでしょう。

 

テキストの音読がカギ

どんなに英語に疎い中学生や高校生でも、How are you? くらいは聴き取ることができるでしょう。これは、何度もこのフレーズをテキスト上で目にしており、またテキスト上で目にした瞬間に意味を理解できるからです。

 

聴取能力の向上とは、換言すれば、より複雑な内容の文章を耳で聴き取れるようにしていくことでもあります。具体的な勉強法としては、目で追って理解できるテキスト自体の難易度を徐々に引き上げていき、そのテキストを音読しながら同時に自分の頭で理解できるようになるまで何回も音読する作業を繰り返すことです。

 

そうすることで、その言語の語順や単語の表現方法のパターン、クセに自分の頭の理解速度がうまく適応していくようになります。

 

リスニング専用の教材について

言うまでもなく、リスニングの訓練に特化した語学教材での勉強が効果的です。勉強し始めのうちは聴き取ることが困難かと思いますが、それはあなたに語学の才能やセンスが無いからではなく、単に練習が不足しているからです。

 

勿論、テキストを見ないで、どれだけネイティブの音声が聴き取れるのかを確かめることも大事なことです。ですが、それよりも、音声の内容を書き起こしたテキストの内容把握と各文法事項を丁寧に確認したうえで、次に、聴きながら同時に頭の中で内容が描写されるようになるまで何回もCDの音声を聴き直す(この時、テキストは見ない)ことがより大切です。

 

「読解能力」の場合と同じように、リスニングもあまり深入りせずに、1冊のリスニング用教材を一通り学習し終えたら、早速次のフェーズ(作文能力)に入った方が良いでしょう。 

 

次回は「作文能力」および「発話能力」の向上に向けた具体的な学習法を説明していきたいと思います。ありがとうございました。

 

 

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