現役ロシア語講師によるロシア語勉強法

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外国語の習得方法について (作文編)

当記事を覗いていただき、ありがとうございます。

中島です。

 

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本日は、語学能力の4要素のうちの③作文能力の向上を図る具体的な勉強方法を書いていきます。結論から先に言うと、

★例文暗記(インプット)と

★自分の意見の書き出し(アウトプット)

の二本立てで、この能力は養われていきます。

 

インプットは例文暗記に尽きる。

 

前回までの説明の続きになりますが、文法書1冊の文法事項と例文の読解、そしてリスニング用教材1冊を一通り学習し終えたら、いよいよ「作文能力」の勉強に入っていくと良いかと思います。

 

実は、基本的な「作文能力」とそれに繋がる「発話能力」の体得には相当な根気強さが必要です。前半の2項目である「読解能力」および「聴取能力」に関しては、外国語から日本語に直す(外国語⇒日本語)という構造の訓練ですが、後半の2項目は逆に日本語から外国語に直す(日本語⇒外国語)という流れの構造になっており、ボキャブラリーも表現方法もその知識量が非常に少ない外国語を積極的にアウトプットしなければならないからです。

 

こうした前提条件を理解したうえで話を進めていくと、作文能力の向上は、ズバリ例文暗記が抜群の効果を発揮します。覚える対象となる例文は、辞書で単語を調べたときの、それらと一緒に記載されている短文や、文法書に載せられている短文にすると良いでしょう。

 

例文暗記は「日本語⇒外国語」の流れで覚える

例文暗記は、必ず日本語から外国語に訳す(日本語⇒外国語)という方向で勉強してください。前述の通り、「作文」と「発話」で求められるのは、日本語から外国語に訳すという流れの能力であり、能力向上の為には必然的にこれと同じ流れで訓練することが求められるからです。

 

例文暗記の方法と分量について

 例文はノートでも単語カードでも結構です。大切なことは、ノートの場合は、見開きの左側のページに日本語の訳を書き、答え合わせとして、右側のページに対応する外国語の訳を書くことです。単語カードの場合も同様、カードの表に日本語、裏に外国語の解答を書くことです。こうすることによって、特に日本人が苦手な「日本語⇒外国語」という方向の翻訳の基礎トレーニンを積むことができます。

 

例文の分量ですが、その言語をマニアックなレベルまでマスターしたいのであれば、大量の例文を際限なく覚えていく必要がありますが、最初のうちは、簡単な挨拶フレーズも含め、200~300個の複雑でない例文を覚えれば、たったそれだけでも格段に高い学習成果が見込めるでしょう。

 

例文は背景にある文法も丹念に覚える

ただし、例文を単なる文字列であるかのようにやみくもに頭に詰め込んでも、ほとんど意味がありません。なぜなら、残念ながら、あなた自身が実践としてネイティブスピーカーに向かって書いたり話したりするとき、事前に覚えていた例文をそっくりそのまま使うような局面は滅多に現れないからです。

 

「私たちの家は塗装されている最中です。」という例文を英語で暗記できていたとして、これと全く同じ文をネイティブに伝える回数は、おそらく、一生に一度あるかないかでしょう。例文を暗記しても、それと似たような文を(曲がりなりにも)自力で作り出せるような適用能力をつけていく必要があるわけです。

 

その為には、例文の背景に隠されている文法もしっかり理解し、覚えていくことが肝心です。文法を蔑ろにして表面的な例文だけを無理に覚えることは、まるで円の面積の求め方の公式を知らないまま「半径3cmの円の面積は約28.26cm2 である」と一生懸命暗記し、半径が4cmの場合の面積は求められない、ということと同じことです。

 

Our house is being painted.という例文自体を暗記すると同時に、”be動詞 + being + 過去分詞”で受動態の現在形を表すことができる、という文法事項もセットで覚えていれば、「朝食が今、作られています。」というような新しい文も応用的に作り出せる可能性がグッと高まります。

 

例文は記憶し続けておく必要なない

例文は暗記しても、200個も300個も常時頭に叩き込んでおくことはほぼ不可能ですし、これに血を流すような努力をするくらいなら、他の分野の能力向上に尽力した方がよほど効率的です。

 

後に例文用のノートや単語カードをめくり返し、自分の記憶度をチェックしたとき、仮に多くの内容を忘れていたとしても、全く気にする必要はありません。血眼になって脳裏に焼き付けるくらい記憶したとしても、上述の通り、それらの例文の殆どは、ネイティブとの実践的なやり取りの中で、実際には一生に1回使うか使わないかのレベルのものだからです。

 

私が推奨する例文”暗記”とは、復習する度に毎回その場で覚えよう、というものです。例文ノート(またはカード)に書いた例文の日本語をまず見て、外国語に直すことができなければ、即座に答えのページをめくり、再度その時に一回は必ず覚える。要するに、覚える⇒忘却する⇒覚える⇒忘却する⇒覚える・・・ この繰り返しを何度も実践して下さい。

 

そうすることで、気付かないうちに、例文中に使われている文法の扱い方、単語の語法を感覚で掴めるようになっていきます。この積み重ねの結果、実際のコミュニケーションの状況に応じて、自力で文を組み立てていくことができるようになります。

 

自力で文章を書くアウトプットも大事。

 

 さて、例文暗記(インプット)に精を出しても、そこに実践(アウトプット)がなければ、本物の実力は養成されないでしょう。自分が覚えた例文をもとに、日記を書いたり、ネイティブにメールを書いたりして、アウトプットする習慣をつけることが重要です。

 

外国語で日記を書くこともアウトプットの為の素晴らしい勉強になるでしょうが、心もとなさがどうしても否めません。第一、自分が書いている日記の内容が、ネイティブの人に通じるかどうかさえも、確かめられないからです。

 

できれば、インターネット上でペンパルを探したり、「Lang8」などの無料の相互語学添削サイトなどを活用したいものです。覚えた単語や例文を自分なりに応用して作成したオリジナルの文が相手に理解され、それに対する返答がもらえると、その歓びはひとしおです。あなたにとってこれは今後の学習意欲の大きな源泉となり、動機付けとなっていくでしょう。

 

そして、ネイティブスピーカーがあなた向けに書いてきた文も、積極的に盗んでいくべきです。私は初学者の頃、ペンパルが書いてきたロシア語の文を、よく例文帳に書き込み、記憶していました。

 

以上、作文能力の向上には、例文暗記というインプット自分の意見の書き出しというアウトプットの両側面からの訓練が効果的である、という説明を長々としました。次回は④会話(発話)能力の向上についての具体的な説明を書いていきます。

 

ありがとうございました!

 

 

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