現役ロシア語講師によるロシア語勉強法

~ロシア語ガチ勢のためのブログ~

中露の蜜月ぶりは表面上の話。ユーラシア連合の強化でロシアは「一帯一路」を封鎖。

 

プーチン大統領は国際討論大会「ヴァルダイ・クラブ」で演説し、今後ロシアを含むユーラシア国家連合体内での交通整備を強化していく方針を示しました。

 

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(画像はREN-TVより)

 

ユーラシア連合は、ロシアが主導しベラルーシやカザフスタンなどの旧ソ連諸国が加盟する地域連合体です。

 

同氏は、「今後共同体が発展していくためには、陸・海両面のルートで商業ルートを開拓していく必要が必須である」と主張、「既に(鉄道や道路などの)ヨーロッパ~中国西部ルートや、北極圏~シベリア~南部ルートの開発計画が進んでいる」と発言しました。

 

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(REN-TVより)

 

こうしたユーラシア連合内のインフラ整備については懸念の声もあがっています。欧米や日本の一部のメディアは、中国の「一帯一路」とロシア主導の「ユーラシア連合」の中央アジアにおける覇権争いが将来的に激化する可能性を指摘しています。

 

日本のメディアではよく、「米の軍事力に対抗するため、中露はタッグを組んでいる」という趣旨の報道がなされています。実際に、過去には中国の習近平国家主席が毎年5月に開催されるモスクワの軍事パレード「対ナチス戦勝記念式典」に参加したり、19年に中央ロシアで開催された軍事訓練は、中露合同演習という形になりました。

 

ですが、中露の蜜月ぶりは勿論表面上の話で、両国とも自国だけでは米国には勝てないので、とりあえずは「米国を倒しましょうね」という暗黙の了解が成り立っているわけです。

 

これが仮に東アジアにおける米国のプレゼンスが今後疲弊してくると、今度は中国とロシア(ここではインドを除く)が地域の覇権争いをし始めることが予想されます。

 

もともと、何とかスタンという名前の付く国の多い中央アジアは旧ソ連の領土、ソ連のような”強いロシア”の復活を夢見るプーチン大統領にとって、この地域に何人も足を踏み入れられるようなことだけは許しません。

 

キルギス、ジョージア、ウクライナにおける2000年代の政変(いわゆるカラー革命)で相次いで民主派勢力が台頭していきましたが、その背景にプーチン氏はアメリカの存在を感じていて、とても苛立っています。

 

ですが、近年に中国がパキスタンやらトルクメニスタンなどに技術供与、インフラ整備の名のもとに周辺地域で影響力を拡大し始めると、プーチン氏の描く復刻版ソ連「ユーラシア連合」と衝突する可能性があります。

 

歴史的にロシアはアジアの南下政策で清国をじわりと侵略していき、大英帝国ににらまれましたが、今後は中露が同じアジアで睨み合いを始めることが予想されます。