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「ロシア経済の悪化、予想より酷くなる。」クドリン氏が発表。ロシア経済の現状について。

 

当記事を覗いていただき、ありがとうございます。

中島です。

 

「19年度のロシア経済の悪化は大方の予想よりも深刻で、経済成長率は1%もいかないだろう。」

 

10月24日、アレクセイ・クドリン会計検査院議長がブルームバーグでのインタビューでこう発言しました。

 

<xakac.info>によると、ロシアの来年の成長率については経済発展省が1.3%、中央銀行が1.2%~1.7%と予想しています。これに対し、クドリン氏はこうした見方は楽観的と捉えているようです。

 

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(アレクセイ・クドリン氏: Научная Россияより)

 

同氏は以下の3つの事柄を挙げた上で、国内経済の低成長を予想しています。

①米国からの継続的な経済制裁

②進行するルーブル安

③付加価値税(日本の消費税に相当)の引き上げ

 

経済制裁とそれに続くルーブル安により、19年度の成長率は0.5%、制裁の強化次第では、景気はさらに悪化すると予測しています。

 

また、ロシアでは19年の1月に付加価値税が現状の18%から20%に引き上げられることが決まっています。

 

「5月の大統領令」達成は程遠い

 

プーチン大統領は18年5月、2024年までの国家の発展戦略として7つの社会分野で発展目標を課し、政府に目標達成を義務づける大統領令に署名しました(通称”5月の大統領令”)。

 

具体例を挙げると、

●人口増加 ●平均寿命の伸長 ●貧困層の半減 ●国民の生活レベル向上と実質所得の増幅、そして、●世界平均を上回る安定した経済成長と五大経済大国への仲間入り などです。

 

特に、ロシアが五大経済大国に数えられるためには1年間にGDP成長率3%を達成しなければならず、目標から程遠いのが実情です。

 

クドリン氏によると、米国が発動している対ロ制裁の緩和や停止は期待できず、最低でも米ロともに次期大統領が誕生するまで、現状は変化しないとしています。

 

 

原油価格回復は経済に貢献しない

 

また同氏は、経済制裁が原因で(ロシア国内への)投資環境は悪化しているので、原油価格が経済に与える影響は限定的と見ています。

 

ロシアビジネス界では、仮に原油価格が高騰してマネーが流入しても、制裁下にあるロシアへの(国内)投資は魅力があせており、海外資産の方にお金は逃げていく。結果として、国内消費はしぼんでいくと発言しました。

 

 

強化の一途をたどる米国からの制裁

 

米国からの対ロ制裁は強化されつつあります。米国では18年8月、ロシアが大統領選に不正に介入したとして、報復制裁を導入する法案が審議入りしました。

 

制裁内容としては、新規ロシア国債の購入停止やロシアの国営銀行が保有している米国の資産や口座の凍結などです。

 

この他、英国のソールズベリーにおいて18年3月に起きた元ロシアスパイの毒殺事件で、ロシアが化学毒物を使用したとして、米国は新しい制裁を発動しています。

 

ロシア政府は、元ロシアスパイの毒殺事件、および米国大統領選挙への介入について、いずれも否定していますが、米国は他にも航空分野での制裁も新たに検討しており、追撃の手を緩めなさそうです。

 

クドリン氏の予想通り、制裁強化でルーブル安とインフレの深刻化が連鎖的に起きれば、来年のロシア経済は雲行きが怪しくなっていきそうですね。