現役ロシア語講師によるロシア語勉強法

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ウクライナ政治家「アンチロシア政策の同盟を!」。ロシア「弱小国家が何を。」

欧州評議会の議員議会でウクライナの代表を務めるヤシコ氏の発言を巡り、ロシアの政治家が反発を強めています。ヤシコ氏は同議会内に、ウクライナ、バルト三国、ジョージアが加盟する「バルチック・プラス」の結成を呼びかけました。

 

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事実上、反露政策を行うための組織と見られています。この活動に対し、ロシア外務省のザハロワ報道官が反発、自身のSNSのページに「ロシアのクリミア半島”侵略”を承認しないという政策だろう。だが、そもそも侵略自体が存在しないし、存在しないものに承認しないということはできない」と投稿しました。

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(プシュコフ氏)

この他、ロシア上院のプシュコフ情報戦略委員長は、「(ヤシコ氏の)組織提案は欧州とロシアの和平プロセスを阻害するものだ。第一、加盟国のメンバーがどれも弱小国家で発言権が乏しい国ばかりだ。これでは、バルチック・プラスどころか、バルチック・マイナスだろう」と皮肉的に批判しました。

 

EU諸国は2014年のロシアによる(旧ウクライナ領)クリミア半島の併合を機に、対露経済制裁を始めました。ですが、EUは反ロシアで団結しているという考えは間違いで、EU組織内も一枚板ではありません。

 

第一、ロシアは安価な天然ガスを欧州に売れる、という強みを持っており、これを外交カードとしています。ノルドストリームというパイプラインがあります。ドイツ北部とロシアを結ぶバルト海海底を通るパイプラインです。

 

アメリカは当然ながら、このパイプライン建設に大反対しています。このパイプラインによる独ロ間の経済的な結びつきによって、ドイツにおけるロシアの影響力も増してしまうからです。もちろん、このことはロシア自身が狙っていることで、ロシアの対西欧政策の基本軸は、EU諸国に起こりやすいアンチ・ロシアの感情の芽を一個一個つぶし、一体感ができあがらないように邪魔することです。

 

今回のヤシコ氏の提案に関して言えば、ロシアは本気になってこないと思われます。なぜなら、上記プシュコフ氏の言う通り、”バルチック・プラス”なるものの想定加盟国はどれも弱小国家ばかりで、仮に出来上がったとしても、ロシアにいじめられてつぶされてしまうでしょう。