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中島です。
ロシアの経済紙『コメルサント』によるインタビューで、メドベージェフ首相は今月7日、ジョージア(日本での旧称グルジア)のNATO加盟問題に関する質問に対し、「NATOがジョージアを迎え入れれば、ロシアとの衝突を引き起こしかねない」と答えました。
(インタビューに答えるメドベージェフ首相。Правительство Россииより)
その際、ジョージア国内に存在するアブハジア共和国と南オセチア共和国についても言及し、「(両国は)ロシアと友好関係にある独立国家であり、ロシアの軍事基地も存在している。仮に第三国がこれらの国家を自分の領域であるかのような扱いをすれば、深刻な事態になりかねない。」と付け加えました。
アブハジア共和国と南オセチア共和国はもともとジョージアから事実上独立していましたが、2008年にジョージア軍が突如侵攻したことにより始まった戦闘にロシアが介入し、ロシア(当時のメドベージェフ大統領)が独立承認をした地域です。両地域を独立国家と承認している国はロシアを含め数か国しかありません。
(NATO加盟国を中心とする13か国の軍事演習。8月15日までを予定。写真はDELFIより)
8月1日より、NATO加盟国を中心とする軍事演習がジョージアで開始されました。これに先立ち、ジョージアのマルグベラシビリ大統領はNATOの首脳会談に出席し、NATO加盟への強い意思を表明しています。
勿論、一連のジョージアの動きにはロシア首脳も非常に敏感で、プーチン大統領やメドベージェフ首相も、NATOの拡大には常に神経を尖らしています。現代史において、特にプーチン大統領にとっては、NATOの東方拡大、ウクライナとジョージアの相次ぐ親米政権樹立は相当な痛手になっているはずです。ロシアで同性愛の宣伝を禁止する法律が施行されたのも、西側のリベラリズムに対する対抗意識の表れとも受け取ることができるでしょう。
今回のコメルサント紙のインタビューでも、メドベージェフ首相は「ワルシャワ条約機構は既に消滅しているのに、NATOだけは存在している。それどころか膨張さえしている。」「NATO加盟国はロシアを仮想敵とみなし、核戦力を含む軍事的な脅威が明らかにロシア連邦に向かっている」と答えました。ジョージアで軍事演習を行う西側への不快感を示す強いメッセージと言えるでしょう。NATO側の軍事演習開始後、今月2日に、ロシア側もアブハジアで軍事演習を開始しました。
以上です。