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本日はロシア語の副詞の解説の続きを書いていこうと思います。
前回は、図2の①の副詞の「時間を表す副詞」まで解説しました。今回はその続きとして、①の「場所を表す副詞」と「比喩を表す副詞」について書いていきます。
(6)場所を表す副詞
動作の行われる場所を示す副詞がこれにあたります。「ここで」「ここへ」「あそこで」「あそこへ」「上で」「上へ」など、たくさんあります。
(例文)
(6)-1. Там я видел несколько машин. (あそこで私は何台かの車を見た。)
(6)-2. Сюда Ирина пришла сама. (ここへは、イリーナは自分でやって来た。)
(6)-3. Откуда вы приехали? (あなたはどこからおいでになりましたか?)
(6)-4. Лифт спустился вниз. (エレベータは下へ降りて行った。)
(6)-5. Оглянись вокруг. (周りを見てごらんなさい。)
(6)-6. Впереди стояли солдаты. (前方には兵士らが立っていた。)
場所を表す副詞には「移動性を伴う単語」と「移動性を伴わない単語」があることに常に注意してください。
前者は、「~へ(向かって)」という具合にある方向へ移動していくことを暗示していますが、後者はある一定の場所の内部で動作が完結することを示すための単語です。
~「移動性を伴う単語」の副詞の例~
● сюда (ここへ)
● отсюда (ここから)
● туда (あそこへ)
● оттуда (あそこから)
● вперёд (前方へ)
● спереди (前方から)
● назад (後方へ)
● сзади (後方から)
● вверх (上部へ)
● сверху (上部から)
● вниз (下部へ)
● снизу (下部から)
~「移動性を伴わない単語」の副詞の例~
● здесь (ここで)
● там (あそこで)
● впереди (前方で)
● сзади (後方で)
● вверху (上部で)
● внизу (下部で)
~両者比較のための例文~
(6)-7. Мальчик убежал туда. (男の子はあそこへ走り去った。)
(6)-8. Мальчик бегал там. (男の子はあそこで走り回っていた。)
(6)-9. Иди вперёд. (前へ進め。)
(6)-10. Впереди видим пологий берег. (前方になだらかな岸が見えますね。)
(6)-11. Он подошёл сзади и закрыл мои глаза. (彼は後方から近づき、私の目をふさいだ。)
(6)-12. Граната сзади взорвалась. (後方で手りゅう弾が爆発した。)
「場所を表す副詞」では、移動性が伴うか伴わないかということにも留意する必要があることを理解できたと思います。
(7)比喩を表す副詞
「~のように」「~風に」という譬えを用いて動詞を修飾するための副詞がこれに分類されます。
(7)-1. Живи по-человечески. (人間らしい生活を送れ。)
(7)-2. Объясните по-другому, пожалуйста. (違う風に説明してください。)
(7)-3. Он говорит по-немецки. (彼はドイツ語を話す。※直訳すると、ドイツ風に話す。)
(7)-4. Птица стояла на ветке торчком. (その鳥は枝の上でぴんと突っ立っていた。)
(7)-5. Дым поднимается столбом к небу. (煙が天に向かってもくもくと上がっていく。)
● "по-"は特殊な形ですが、「まるで~のように」「~風に」を意味する副詞になります。
(例)
● по-своему: 自分形式で
● по-разному: 様々に、様々な方法で
● по-прежнему: 以前と同じように
● по-заячьи: ウサギのように
● (7)-4.(7)-5.のように、名詞の造格形が副詞化するパターンもあります。その場合、元の名詞が比喩的に用いられます。
(例)
● торчком: 直立に ("突っ張り出ているもの"を意味する名詞 торчок より)
● столбом: もくもくと ("柱"を意味する名詞 столб より)
● раком: 四つん這いに ("ザリガニ"を意味する名詞 рак より)
いかがでしたでしょうか。次回(最終回)は「副詞の特徴と留意点」および「述語副詞」について書いていこうと思います。ありがとうございました!