当記事を覗いていただき、ありがとうございます。
中島です。
本日は、ロシア語学習者向けの露文和訳問題を出したいと思います。マイナー言語であるロシア語の初心者向け解説は多くのブログ等で見かけますが、中級者向けについてはあまり見たことがないので作りました。
想定としては、ロシア語能力検定試験2級以上への対策も意識しています。解答・解説は各問題の写真の下に記載しております。尚、日本語の解答はできるだけ逐語的な和訳を努めますが、自然な日本語の出来上がりを重視するため、多少ずれることがあります。
(問題編 NO.1)
・以下のロシア語を和訳しなさい。
На мою просьбу объяснить происходящее он начал угрожать мне применением насилия. При этом я был с коляской с ребёнком, и если бы не это, то я не знаю, чем всё могло бы закончиться.
(В Контактеの投稿文より抜粋。一部改変 )
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(解答編 NO.1)
起きていることの説明を求める私に対し、彼は暴力をふるうぞと脅し始めた。このとき私はベビーカーの子どもと一緒だったが、もしそうでなかったとしたら、どんな結末が待っていたか私には分からない。
(解説編 NO.1)
当文章の背景は、この投稿文を書いた人が、ある日民間の警備員がホームレスの男性に暴行を加える現場を目撃したというものです。彼が警備員に話しかけたときの話です。
(一行目)
На мою просьбу объяснить происходящее он начал угрожать мне применением насилия. (起きていることの説明を求める私に対し、彼は暴力をふるうぞと脅し始めた。)
★最初のнаは "反応のна" と呼ばれるものです。直後に対格を要求します。
<類例>
・Ответь на вопрос. 質問に答えなさい。
・отреагировать на ~ ~に対して反応する
本文においては、「私の頼み事に対して彼は、~」と続いていきます。
★その「頼み事」とは何かというと、直後の объяснить происходящее (今起きていることを説明すること)です。一般的に文中における動詞の原形は、①「~すること」 ②「~するべき」③「~するために」という意味を持ちます。
<例>
① Он умеет плавать. 泳ぐことができる。
② Молчать! 黙れ!
③ Он пришел сюда увидеть меня. 彼は私に会うためにここへ来た。
当文では①が当てはまり、「説明することへの頼み事」という意味合いになります。
★происходящее は、不完了体動詞 происходить の能動形動詞現在の中性単数形になります。能動形動詞現在ですので「発生している」という形容詞的な意味になりますが、中性単数を用いることにより、「起きていること」のように抽象的な内容を名詞化しています。
<類例>
・остальное 残っているもの
・пережитое 体験(したこと)
★不完了体動詞 угрожать + 与格: ~(与)を脅す、脅迫する。当文では動詞 начать (~し始める)の直後に来るので、継続的な動作を表す不完了体動詞となります。 ちなみに名詞形は угроза (脅迫、脅威)です。
★применениемは、名詞 применение (適用、応用、利用)の造格。どういった道具(手段)を用いて脅すのかという意味で、「道具の造格」が用いられています。単に、угрожать насилием と表現することもあります。
(二行目)
При этом я был с коляской с ребёнком, и если бы не это, то я не знаю, чем всё могло бы закончиться. (このとき私はベビーカーの子どもと一緒だったが、もしそうでなかったとしたら、どんな結末が待っていたか私には分からない。)
★ при + 前置格: ~のときに、~の際に
★ чем は что の造格です。закончиться + 造格で、「~という形(状態)で終わる」という意味になります。
例)
Фестиваль заканчивается танцами. フェスティバルはダンスでもって終了する。
本文では、「どういった状況で終わるのか分からない」と言っています。
★ Eсли бы ( A ) , то ( B ). の構文について。
接続詞 если は、仮定法を形成することで有名ですが、助詞の бы を付け加えることにより、現実に反する仮定を表します。
「もし( A )だったとしたら、( B ) する(していた)だろう。」
( A )、( B )の中に入る動詞は共に過去形になることが多いです。本文中では、動詞 мочь (~しうる、可能性がある)が、中性単数過去形(主格の всё に由来)になっています。そして、本分中の это とは「子どもを連れていたこと」を指します。
以上です。ありがとうございました!
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