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中島です。
ロシア下院のタマラ・プレトニョワ議員は6月13日、W杯開催直前のラジオ番組(Govorit Moskva)に出演し、W杯開催中に「外国人との性交渉は避けるべき」と同国女性に呼び掛けたそうです。
(プレトニョワ下院議員 Радио Свободаより転載)
この発言については、ロシア国内でも冷笑と批判で迎えられました。私は地元のメディアサイトのコメント欄を見ましたが、「こんな議員を国民が選ぶなんて、終わっている」といった批判のコメントが数多く寄せられました。
今回のニュースは日本でも話題になり、Sponichi Annexというメディアも紹介しました。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180614-00000103-spnannex-socc
ただし、プレトニョワ議員の実際の発言内容と著しく乖離していたので、紹介いたします。
上記リンク内の
「もし外国人とセックスをするならパートナーが白人であるかどうかを確かめて。他の人種だと最悪。」
の翻訳の箇所ですが、実際の発言では「白人」という言葉は一回も使われていません。この日本語の記事では、同議員の主張がまるで外国人であっても白人であれば性交渉は例外的に宜しい、というニュアンスで書かれていますが、原文ではそのような主旨の発言は全く見当たりませんでした。
(発言の原文を載せたサイトの一つ https://govoritmoskva.ru/news/163495/)
そもそもプレトニョワ議員のインタビュー上の主張の論点は「外国人との一時的な関係は、その後に生まれてくる子どもたちの暗い将来を惹き起こす」ということです。
確かに「一つの人種からなる家族が望ましい」とする人種差別的な問題発言はあるものの、「ロシア人であれば民族は関係ない、重要なのは健康的な家族を築きあげることだ(主旨)」とも同じインタビューで述べています。一口に”ロシア人”といっても、多民族国家である以上、アジア系のロシア人も大勢います。議員はこのことを踏まえたうえで、民族は関係ない、W杯観戦の為に訪れた外国人との無計画な性交渉は避けるべき、という主旨の発言をしたのです。
白人以外との性交渉という論点で、今回スポニチが記事を翻訳したのは大きな間違いであるし、印象操作の意図があったと言わざるを得ないのではないでしょうか。
もっとも、プレトニョワ議員の発言も大問題であることには変わりはありません。「一つの人種からなる家族が望ましい」という思考は今のグローバリズムの世の中には全くそぐわないものであるし、多民族の国民から選出された代表者がこのような無責任な発言をして咎められるのは当然のことです。
今回の発言を受け、ペスコフ大統領報道官も火消しに動かなくてはならない事態となりました。
「W杯の為に訪露した外国人サポーターと性交渉を行うかどうかは、各人が判断することだ」と、極めて当たり前のコメントを発表しました。