現役ロシア語講師によるロシア語勉強法

~ロシア語ガチ勢のためのブログ~

ロシア語を自由に使いこなすためには、ある程度のインプットが大切。

こんにちは。

 

『ドラゴン桜』という漫画とドラマをご存知でしょうか?

偏差値がとても低い高校で、主人公の桜木先生が学歴コンプレックスを持つ生徒たちに勉強することの楽しさを教え、東大受験をさせるという物語です。

 

この物語は語学に勤しむ社会人にも非常に含蓄に富むものばかりで、本日は私が未だに指針にしている1シーンをご紹介します。

 

あるとき、東大英語の自由英作文の過去問を解く授業で、桜木先生が皆に指示しました。

 

「お前らは、まず過去問の答えをそのまま暗記しろ!」

 

これにある生徒が反発します。

「自由英作文なんだから、自由に書かせろよ。勉強にならないだろ。」

 

すると、桜木先生が怒り出して言い放ちます。

「お前らみたいな英語の基礎が全く無いバカな連中に自由などない!」

 

そう、つまり、基礎ができていない人は自由英作文をやらせても歯が立たない、という教訓なのです。

 

まず、英単語が書けない、それを文章にできない、文章の構成の仕方が分からない、どのくらいの時間配分で書けるかわからない、理論的な文章が書けない。。。

 

基礎が整っていない人は、自分から「自由」にものを創作することはできないのです。

 

「守・破・離」という言葉があります。何かを習得したいときは、まずは師匠の教えをとことん守り真似し、師匠を破って、最後には自我流を確立して師匠のもとを離れていくという流れです

 

少し大袈裟かもしれませんが、語学にも同じことが言えます。ロシア語を勉強したての人は、いきなり自分の力で文法規則通りにロシア語で文章を書くことはできません。

 

文章は例文の集まりです。だから、最初はその文章の構成単位である例文をある程度、詰め込み教育的に覚えていくしかないのです。

 

ロシア語の例文は私の感覚ですと、おおよそ200個程度の短い基礎的な例文を暗記することで、センテンスの型が段々とわかってきます。

 

例文を覚える段階で、同時に動詞やその文の述語で使われる語法もきちんと丁寧に拾っていくことが大切です。

 

例えば、

◆私たちはあなたをコンサートに招待したい。

◆ Мы хотим пригласить вас на концернт. 

 

この例文の主要な語法は

① хотеть + 動詞の原形: ~したい

② пригласить +対+ в/на+対: ~を~へ招待する です。

 

これら例文を初学者のうちは沢山覚えないと、ロシア語の文章の「型」が分からない人になってしまい、いつまでたっても、下手な文章を書いてしまう人になってしまいます。

 

文章の「型」というのは、文法であったり、上記のような語法であったり、語順であったりします。

 

これらをいっぺんに満遍なく習得するためには、やはり例文暗記が最短ルートと言っても過言ではないと私は考えています。

 

では一体、どのような例文を覚えれば良いのでしょうか? 

教科書やニュース記事など、目に入ってくるロシア語のセンテンスを片っ端から覚えようとしても限界が来てしまいます。そこで、私は覚えるべき例文の3つの基準というものを個人的にお勧めしております。

 

基準1: 自分にとって実用性が高いと思われる文章

基準2: その文の意味、文法事項、語法を理解している文章

基準3: もし日本語で書いてあった場合、ロシア語に再翻訳できなかったであろう文章

 

上記3つの基準をすべてクリアした文章だけを暗記することをお勧めします。

 

まず、基準1についてですが、あなたにとって実用性が無い文章を覚えても意味が無いでしょう。目の前にクラゲの生態に関する例文があった場合、それを覚えたところで、あなたは一生のうちに何回ネイティブ・スピーカーの前でその例文を発言するでしょうか? 

 

それよりも、もっとあなたが覚えるべき重要かつ日常生活に必須な例文はたくさん転がっているはずです。

 

基準2: その文の意味、文法事項、語法を理解している文章

基準2について。

中身が分からないロシア語の文章をひたすら暗記しても意味が無いです。

上の ◆私たちはあなたをコンサートに招待したい。という例文を考えてみましょう。

 

これと全く同じ文をあなたはネイティブスピーカーの前で発言することはおそらくほぼないでしょう。実際には「彼は私を動物園に招待した。」など、文章をその時の会話の内容に合わせて、常に改変していかなければならないのです。つまり、

 

◆「私たちは」→「彼は」

◆「あなたを」→「私を」

◆「コンサートに」→「動物園に」

◆「招待する」→「招待した」

 

に上手く変換できるように、語法という公式を理解しておく必要性がどうしてもでてくるのです。ですので、中身を把握できた例文のみを覚えることが有効的です。

 

基準3: もし日本語で書いてあった場合、ロシア語に再翻訳できなかったであろう文章

基準3についてですが、自分の目の前にあるロシア語のセンテンスが和訳できたとして、「自分はこの程度のロシア語ならわかる」と勘違いしては危険です。

 

その文章を一回和訳してみて、その日本語からロシア語に再翻訳できるかどうか、もう一度胸に手を合わせて考えてみてください。

 

もし仮にできないのであれば、あなたのロシア語の現段階のレベルは、そこまで達していない、という強い認識を持つことが大切です。なぜなら、あなたは会話やメールなどで、ロシア人にその内容か同等のレベルのロシア語が現段階では伝えられないからです。

 

現時点でできないのであれば、謙虚な姿勢になって、素直にその例文をインプットして、自分の肥やしにしていくことが肝要だと私は思っています。

 

語学の自由自在なアウトプットは、その下積みの膨大のインプットに支えられて初めて生まれる物です。「できない」「書けない」と悩んでいるうちは、できるだけ多くの例文をそのままインプットして、泥臭い下積みを重ねていく他はなさそうです。

 

以上です。

本日もありがとうございました!

 

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