現役ロシア語講師によるロシア語勉強法

~ロシア語ガチ勢のためのブログ~

ウクライナ侵攻時のロシアの愛国主義的な洗脳教育がスタート

22年2月下旬に始まったロシア軍によるウクライナ侵攻ですが、ロシア国内では早くも義務教育の学校で「特殊作戦」に関する愛国教育が始まったようです。

 

テレグラム(ロシア国内のチャット式SNS)では、3月には既に「子供たちを動員した軍事キャンペーン」が話題となっていました。

 

注目されたのが、小児病院で入院している子供たちが、ロシア軍の”特殊軍事作戦”を支持するシンボルとなっている” Z ”の文字を屋外で作るというキャンペーンです。

 

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メディアによると、子供たちの中には心臓や呼吸器系の重病を抱えている患者もいる中で、こうしたキャンペーンを動員するのはいかがなものかという声も上がっているようです。

 

これに対し、「子どもの人権擁護委員会」のオンブズマンは、「キャンペーンは全く合法的であり、保護者からも苦情は1件も来ていない」と回答しています。

 

露コメルサント紙などによると、小中学校では「ウクライナにおける我が国の特殊作戦について」という社会科系の授業が誕生。ロシア軍の”軍事作戦”の正当性と意義について子供たちに愛国教育を行うものだと思われます。

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ご存知の通り、ロシア国内でのプロパガンダでは、ウクライナの現政権はネオナチであり、東部を中心としたロシア語話者のロシア系住民がネオナチに虐められている、だから、ロシア軍が解放してあげなければならない、といった物語になっています。

 

コメルサント紙は、具体的な教育ガイダンスを紹介しています。

教員は西側諸国から受けている対露経済制裁が「どう我が国に影響を及ぼすか?」といった内容で授業を進めていくことを教員に課しています。

 

ロシアに対する禁輸が厳格化される中、ロシア自身は自己完結型の”地産地消型”ビジネスモデルが将来にわたって発展し、「最終的に損害を被るのはどの国なのか?」といった議論を子供たちにさせるというのです。

 

教育方針としては「ロシア経済に有利に働く」と教育していくだろうと伝えていますが、同紙がインタビューした国内の経済学者らは「ガイダンス作成者は間違いを犯している。近いうちに経済制裁の効果を自分の肌で感じるのは子供たち自身だ」と警告しているようです。