現役ロシア語講師によるロシア語勉強法

~ロシア語ガチ勢のためのブログ~

ロシア語検定試験:「氷山の一角に過ぎない」はどう訳せばよいか?

唐突ですが、あなたは「氷山の一角に過ぎない」という日本語をロシア語に訳すことはできるでしょうか?

 

仮に、この表現をロシア語の検定試験の会場や通訳の現場で訳さなければならない状況になったとき、この表現を知らなかった場合、あなたはどうするでしょうか?

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画像はprintestより

もちろん、ロシア語にもこの表現はイディオムとして存在します。

しかしながら、この慣用表現を新しく覚えることよりも、自分が今の段階で知っている単語だけで、同じ(似た)意味に仕上げることの方が重要です

 

なぜなら、どんなに新しい単語を勉強しても、未知の単語や表現は常に出てくるからです。

 

もし、ロシア語能力検定試験の2級あたりの<<和文露訳>>で「これは氷山の一角に過ぎない」という文を訳さなければならないとき、諦める必要はありません。こういった、自分の実力では「訳せない表現」の対処法は以下の通りです。

 

①日本語で簡単な表現に置き換える。

➁それをロシア語に訳す。

 

「氷山の一角に過ぎない」というのは要するに、「物事の一部に過ぎない」「始まりに過ぎない」といった意味です。

 

もし、あなたの実力が3級レベルである場合、

Но, это не всё.

だけでも、十分に訳せたと言えます。

また、「始まりに過ぎない」といった文脈であれば、ロシア語には他にも、

Это только начало. 

やや口語的ですが、こういった表現もあります。

 

検定試験や通訳であれば、上記のように「平易な表現に換言する」ことが非常に重要です。

 

最近、中途半端に覚えたばかりの難しい表現や単語を使ったとしても、スペルを間違えたり、語法をミスしたりすると、必ず減点対象となります。

 

「和文露訳」の採点者からしてみたら、

①表現方法は微妙だが、簡単な単語を使っていて簡潔である文章 と、

➁難しい表現を知っているが、スペルミスや語法ミスがある文章

 

どちらを ✖ にしやすいでしょうか。言わずもがな、➁の方です。

なぜなら、スペルミスや語法ミスは客観的で明確な間違いであり、堂々と ✖ にしても、受験者は後で批判できないからです。

 

あなたが新しく覚えようとする単語や表現は、今のあなたのレベルより少し上のレベルのものです。ということは、本番の試験でミスするリスクも自然と上がっていきます。

 

それよりも、上述のように、начало や всё など、今までに何回も見たり使ったりしたことのある、ミスしようがない確実な単語を使うことが賢明と言えるでしょう。

 

「氷山の一角に過ぎない」はロシア語で、Это только верхушка айсберга. と言います。

 

試験などでこの表現を使って良いのは、あなたのロシア語ライフの中で Это только верхушка айсберга.と表現する文化がしっかりと根付いているときだけでしょう。

 

それを無理に、

”ええと、氷の山だから、ледяная гораか。一角はодин уголか。”

とパッチワークのように無理無理につなぎ合わせたとしても、採点者やネイティブがこれを見た場合、「なんだこれは???」と一蹴されてしまいます。

 

繰り返しになりますが、試験でも通訳でも、いかに自分の操れる単語の範囲内で物事を表現するがキーポイントとなります。

 

ですから、日常的に難しい日本語やことわざ、慣用句を簡単な日本語に置き換えるトレーニングを積むことが大切です。

 

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