現役ロシア語講師によるロシア語勉強法

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新型コロナの災禍に便乗し、富を得るショック・ドクトリン。ロシアでは誰が”儲かる”のか

社会学の概念に「ショック・ドクトリン」という言葉があります。資本主義が行き過ぎると資本家らは災禍をも味方につけ、ますます富豪化していくことに警鐘を鳴らした言葉です。

 

この用語の生みの親であるカナダのジャーナリスト、クライン氏はミルトン・フリードマンなどの究極的な自由主義を礼賛する新自由主義者たちを痛烈に批判しています。

 

新型コロナウイルス感染拡大の時世であっても、例外にもれずこの惨事に便乗した新しいビジネスを狙う資本家も多くいるはずです。

 

ですが、こうした「ショック・ドクトリン」は日本や米国などのバリバリの資本主義社会のみならず、中露などの権威主義社会でも横行します。

 

後者においては、その災禍に一番目を光らせている者の正体は、他ならぬ「国家」そのものです。

 

たとえばロシアでは、『新型コロナウイルス拡大防止』という大義で、いくらでも反プーチン派の活動を停止することができるし、頻発していた反政府デモ運動も一気になりを潜めました。

 

折りしも、この国ではプーチン大統領の任期延長に関する憲法改正に賛否両論の渦が巻いていたばかりです。

 

また昨年より、モスクワ市中への高解析度監視カメラの設置と中国からの関連技術の輸入が決定していましたが、「感染拡大防止のため、行政による情報の高度化」を名目に、今後の一層の個人情報の管理化が進むと予想されています。

 

プーチン大統領は、こうした便乗国策に非常に長けた人物です。エリツィン前大統領が始めたチェンチェン戦争では自らが前線に赴き、兵士らを督励する姿をメディアで露出させることで知名度を上げていきました。

 

また、ベスラン学校テロ事件では、「非常事態」という名のもとに全国の知事の任命権を大統領に付与させることに成功、一気に中央集権化に向かわせました。

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ベスランでのイスラム教過激派による学校占拠事件。教師や子供たちなどが犠牲になった。

 

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画像はインターファクス通信などより

資本主義社会であっても権威主義色の濃い社会であっても、利権をもつ人々は災禍をも味方につけ、ますます自分の影響力を強大化することができます。