イギリスの情報機関”MI5”と独連邦憲法擁護庁(ドイツの情報機関)は、オーストリアの諜報機関が利用しているロシア製のウィルス対策ソフトが同機関に安全上の脅威をもたらす可能性があるとして警鐘を鳴らしています。インタ・ファクス通信が伝えています。
焦点となっているのは、セキュリティソフトウェアの開発・販売などを行っているロシアの民間会社”カスペルスキー(研究所)”で、英独のIT専門家らの調査によると、オーストリアの諜報機関が搭載した同社製ウィルス対策ソフトは、「情報セキュリティが”盤石”と言えるまでの基準に達していない」、「ソフトウェアがインターネットに接続されているため、機密情報がテロリストの手に渡るリスクがある」とのことです。
97年に設立されたカスペルスキー研究所は、2000年代に入って製品の不具合やスパイ活動容疑が世界中で報告されていて、特に17年には、ロシア政府が同社製品を使って米国にサイバー攻撃を与えている、とロイター通信が報道しました。
18年5月、同社の広報部は「カスペルスキーは、いかなる国家のサイバースパイや有害行為を助長したことはなかったし、これからもない」と公式見解を発表しました。
米英ではすでに政府が国家機関に対してカスペルスキー社製の製品を利用しないよう通達しています。
独連邦憲法擁護庁は今年夏、ロシアのニュースサイト”sputnik”が、プロパガンダ情報をドイツ国内で大量に流し、ドイツ国民がロシアに好意的な印象を持つような世論を形成するよう試みている、という報告書を発表しました。