現役ロシア語講師によるロシア語勉強法

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世界情勢 一問一答クイズ(簡潔な解説付き) ~中露の対外世論工作~

 

当記事を覗いていただき、ありがとうございます。

 

本日は、シリーズ化した国際情勢に関する一問一答形式のクイズを出したいと思います。公務員試験や就職試験・SPI等の時事問題へ向けた練習になるよう努力致します。

 

解答および解説はいつもの通り、各写真の下に記載します。

 

 

(問題編 1.)

外交政策上の理論で、独裁的な国家が自国の利益と目的達成のために行う対外的な世論工作のことを何というか。

 

(A). ソフトパワー

(B). ハードパワー

(C). シャープパワー

(D). オピニオンパワー

 

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(写真は中国の習近平国家主席: 香港01より)

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(解答・解説編)

(C). が正解。

 

シャープパワーは米国のクリストファー・ウォーカー氏が自著の論文の中で指摘した概念です。その中で同氏は中国やロシアなどが行う対外世論工作の潜在的な脅威を指摘しています。

 

下写真は米国のシンクタンク「全米民主主義基金」の副理事長で論文著者のクリストファー・ウォーカー氏

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(産経新聞より)

 

ウォーカー氏によると、中国やロシアなどの独裁的な国家は、情報へのアクセスがより解放的な民主主義国家を標的にして、自国の国益にかなうような世論工作を活発的に行っています。

 

(B)のハードパワーとは、ある国の軍事的な示威行為や経済制裁といった物理的な強制力が他国へ影響を及ぼすことのできる力のことを指します。

 

それに対し、(A)のソフトパワーとは、米国の大学教授ジョセフ・ナイ氏が提唱した概念で、文化や経済力、思想などといったその国の魅力が外交上の武器となる力のことを言います。

 

(1問目終わり)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

 

(問題編 2.)

シャープパワーの具体的な事例として、妥当ではないと思われるものを下から選べ。

 

(A). ロシアのバレエや音楽の海外公演

(B). ロシアによる米国大統領選の介入

(C). 中国の「孔子学院」の開講

(D). 中国による海外政治家の買収

 

 

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(ソフトパワーの概念を提唱したジョセフ・ナイ氏: Oxford Martin Schoolより)

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(解答・解説編)

(A). が正解。

 

(A)はソフトパワーの事例と言えるでしょう。

 

ロシアが海外でバレエや音楽の公演を行ったり、ロシア語教育の普及に取り組んだりするのは、同国の魅了を文化的な側面からアピールし、国際社会でのイメージ向上を図っているからです。

 

他例として、「クールジャパン戦略」も日本のソフトパワーの一例です。

 

米国選挙におけるロシア介入の疑惑(B)は、シャープパワーの一つと言えます。ロシアは2016年の米国大統領選で、サイバー攻撃やSNSなどを大量に駆使してトランプ氏の当選に有利に働くような世論工作を行ったという疑惑が向けられています。

 

この他の同国のシャープパワーとして、西欧諸国の元高官らの引き抜きなどがあります。国内の大手国営企業などの重役なポストを用意して招へいする手法などが指摘されており、欧米諸国による対ロ経済制裁の切り崩しを狙っていると言われています。

 

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(ロンドンに現れた広告。英国のEU離脱決定にロシアが関与したと宣伝している: ロイターより)

 

同様の手法は、中国も利用しているとされています(D)。

 

特にオーストラリアやニュージーランドでは、政界の重要人物に裏で中国マネーが流れ、同国の政策が中国に有利になるように策動されるというケースが指摘されています。

 

中国の孔子学院(C)は、中国語や中国文化の海外普及を目指し、各国の教育機関と提携して現地に設置される中国政府の機関です。

 

一見するとソフトパワーの一例に思えますが、ウォーカー氏はこれをシャープパワーに分類しています。

 

米国では、孔子学院の実態として、授業で台湾やチベット問題などの取り上げが禁止されているとし、批判の声が上がっています。

 

また、日本の大阪産業大学では、関係者が同学院を「文化スパイ機関」であると批判した経緯があります。