現役ロシア語講師によるロシア語勉強法

~ロシア語ガチ勢のためのブログ~

ロシア語 格変化トレーニング 問題集 NO.41~45. (被動形動詞の変化 など。詳しい解説付き)

 

当記事を覗いていただき、ありがとうございます。

中島です。

 

前回に引き続き、「格変化トレーニング」の41.から45.までを記載します。当問題集はロシア語能力検定試験3級対策としても有用です。当問題集を活用しての効果的な勉強法等については、下記のリンク先をご覧ください。

 

worldaffairs.hateblo.jp

 

解答・解説編は、問題編の下の写真の下に記載しています。

 

 

(問題編)

問: 次の各問の括弧内のロシア語を文脈に沿うように正しく直し、日本語に訳せ。

 

41. Я читала книгу, переведённую ( он ).

 

42. В ( наш музей ) проводятся уроки истории.

 

43. Над ( моя голова ) - только голубое небо.

 

44. Парень подошёл к ( они ).

 

45. ( Это лето ) мы едем в Крым на автобусе.

 

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(ムルマンスクの街並: msktaxist.ruより)

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

(解答・解説編)

※ロシア語の下線部はアクセントの位置を表す。

41.

①Я читала книгу, переведённую им.

②三人称単(男)・造

③私は彼によって翻訳された本を読んだことがある。

 

(解説)

● 文中の переведённую は、完了体動詞 перевести の被動形動詞 過去 長語尾 女性 単数 対格。

 

受動表現において、動作の主体は造格で示される。よって、当文では翻訳した主体である"彼(он)"の部分が造格になる。

 

● перевести + 対格: ~(対)を翻訳する。不完了体は переводить

 

~形動詞について~

形動詞には能動形動詞と被動形動詞の2種類が存在し、それぞれが現在形・過去形の2種類をもつ。


(例)
動形動詞現在: читающий (読んでいる。※現在形のため、不完了体動詞でしか作られない。)


動形動詞過去: читавший / прочитавший (読んでいた / 読んだ。※不完了体動詞からでも完了体動詞からでも作られる。)


動形動詞現在: читаемый (読まれている。※現在形のため、不完了体動詞でしか作られない。)


動形動詞過去: прочитанный (読まれた。※ほとんどの場合、完了体動詞から作られる。)

 

形動詞は動詞から作られるが、形容詞の性質をもつ品詞である。形容詞は、修飾する名詞の性・数・格に応じて自身も変化する。当文に登場する形動詞が修飾する名詞は、книгаであり、その性・数・格は、女性・単数・対格であるため、переведённый もこれに倣って переведённую に変化する。

 

 

42.

①В нашем музее проводятся уроки истории.

②男・単・前

③私たちの博物館では歴史のレクチャーが行われています。

 

(解説)

● провести + 対格: ~(対)を行う。但し、当文においては語尾に -ся が付いているので、受け身の意味合いになる。よって、主格は уроки である。

 

 

 

43.

①Над моей головой - только голубое небо.

②女・単・造

③私の頭上には、見渡す限りの水色の空が広がっている。

 

(解説)

● 前置詞 под, над, из-под の違いに注意。

 

★ под + 造格: ~の下

例) Бездомные живут под землёй. (ホームレスらが地下に住んでいる。) 

 

★ под + 対格: ~の下

例) Мужчина спустился под землю. (その男は地下へと降りて行った。) 

 

★ над + 造格: ~の上、上

例) полёт над морем (海の上を飛行すること)

例) Солнце поднимается над горизонтом. (太陽が地平線の上を昇っていく。) 

(※ под の場合と異なり、над は直後に対格を伴うことはない。)

 

★ из-под + 生格: ~の下から

例) Он достал кольцо из-под подушки. (彼は指輪を枕の下から取り出した。)

 

 

 

44.

①Парень подошёл к ним.

②三人称複・与

③青年は彼らに近づいた。

 

● подойти: 移動の動詞 идти に接頭辞 под が付き、"接近する"の意になる。不完了体は подходить。

 

● подойти (近づく)の他、подбежать (走って接近する), подплыть (泳ぎながら接近する), подлететь(飛び近づく)など、移動の動詞に接頭辞 под が付く動詞は、直後に к + 与格 (~に近づいて)を伴うのが一般的である。逆に、в/на + 対格は伴わない。 

 

 

45.

Этим летом мы едем в Крым на автобусе.

②中・単・造

③今年の夏に、私たちはバスでクリミアに行きます。

 

(解説)

●不完了体動詞の現在形変化(едем)は、直近の未来を意味することがある。

 

●春夏秋冬、朝昼晩夜の名詞は、造格になると副詞化する。

例) утром (朝に)、 ранней весной (早春に)

 

以上です。ありがとうございました!