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中島です。
前回に引き続き、国際情勢に関するクイズ(NO.2)を書きたいと思います。公務員試験や大学入試センター試験、就職試験・SPI等の時事問題へ向けた練習になるよう努力致しますが、アクセス数が伸びなければ廃止させていただきますので、ご了承くださいm(__)m。情報元は日経新聞や読売新聞です。
クイズは二段階形式で、最初は選択形式の問題を1問とその解答・解説、次にその回の問題の復習として、一問一答形式の問題を緑色のフォントで出題します。
●選択形式の問題 NO.2
次の3つの文章の中で、実際の情勢を正しく記述している選択肢を選びなさい。
(A) 経済成長が続く中国では、近年、国内の製造業生産指数が飛躍的に伸長し、2018年に東南アジア主要5か国(インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン)の平均指数をついに上回った。これは、リーマンショック以降、中国が内陸部の地方の経済立て直しを図るため、地方都市に巨額の投資を行い、大規模な工場を建設したことなどが功を奏したためである。
(B) 英国のEU離脱問題について、英国・EUの両サイドは、離脱の条件などを定める正式な協定を19年3月の離脱までに発効させるため、このほど基本的な事前合意に至った。事前合意では、英国のメイ首相が提案した離脱後の両サイドの"モノの自由貿易圏"の創設がEU側によって承認された。しかし、英国とフランスが領土争いをしているブルターニュ地方のEU圏残留については、英国側が強硬姿勢を崩しておらず、決定保留のままとなっている。
(C) キリスト教東方正教会ではウクライナの教会のロシア正教会からの独立をめぐって対立が激化しており、正教会の最高権威であるコンスタンティノープル総主教庁が独立承認に向けて動く一方で、ロシア正教会は同総主教庁への報復措置を9月に発表した。ウクライナではロシアのクリミア併合を受けて、ロシア正教会離れが進んでいるが、ロシアはそれに危機感を強めている。
(写真はイギリスのメイ首相 Bloom bergより)
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(解答・解説編)NO.2
正解は(C)
(A) 妥当ではない。
日経新聞(2018.9.20)によると、今年1~6月期の東南アジア主要5か国(上記)の製造業生産指数(製品の生産量をある時期を基準に指数化したもの)は前年同期比で中国の伸びに迫った。中国の伸び率は7%で、東南アジア主要5か国は6.2%だった。
東南アジアでは、人件費が上昇する中国から生産拠点を移す、チャイナ・プラスワンの動きが広がっている。衣料品製造企業などは縫製工場を賃金水準がより低いベトナムやフィリピンに移転させている。
一方、中国では鉄鋼や造船などで生産調整が進められており、生産指数の下落基調の一因となっている。さらに、最近の米中貿易戦争の影響を懸念し、中国国内での生産を忌避する動きも出始めている。
(B) 妥当ではない。
英国のEU離脱の条件を決めるEU・英国間の協議は依然として難航している。当初は18年10月までの離脱交渉での合意(10月合意)を目指していたが、断念した。
問題文中の"モノの自由貿易圏"創設の提案について、EU側は反発したままである。英国の提案には同時に、移民受け入れの制限も含まれており、EU側には「いいとこ取り」という認識が強い。
ブルターニュ地方はフランスに属し、外国との領土問題は存在しない。EU離脱交渉で焦点となっているのは、むしろ、離脱後の英国領北アイルランドとEU加盟国アイルランドとの国境管理問題である。
下図のように、EU加盟国のアイルランドと英国領の北アイルランドは地続きであり、このことが英国の離脱問題で頭を悩ましている問題となっている。
(写真は朝日新聞より)
アイルランドと英国はともにEU加盟国であるため、英国領北アイルランドとアイルランドの国境間の移動の自由度は大きいが、英国自体がEUを離脱した後は、国境が復活することになる。(国境管理の厳格度は未だに交渉途中)。管理の厳しい国境が復活すれば、北アイルランドとアイルランドに住むカトリック系住民を分断することになり、民族分断という根深い国際問題に発展してしまう恐れがある。現時点でEU側は、北アイルランドを事実上、関税同盟に残す案を示しているが、英国側は「(英国)国家の分断を招く」として同意していない。
10月までの合意に間に合わなかったわけだが、今後も妥結できなければ、合意なしのまま19年3月に英国はEU離脱を迎える可能性もある。離脱条件が依然整わないため、経済分野等では早くも不確定要素の強い局面を迎えつつある。
(C) 妥当な記述である。
ロシアのプーチン政権はロシア周辺への欧米の価値観の浸透を防ぎ、求心力を高めようと、社会におけるロシア正教会の役割を重視してきた。だが、ウクライナは親欧米に傾斜しており、ロシア正教会傘下のウクライナの教会などが、東方正教会で(事実上)最も高い権威を保持するコンスタンティノープル総主教庁に独立承認を求める請願書を提出した。
コンスタンティノープル側はウクライナの正教会の独立承認に動き始めたが、ウクライナを勢力圏に留めたいロシアが反発しており、コンスタンティノープル側が催す会議や共同礼拝をボイコットする報復措置を2018年9月に発表した。
(写真はプーチン大統領とロシア正教会のトップ、キリル総主教 pravda.ruより)
●一問一答形式問題
(6) 東南アジアでは、人件費が上昇する中国から同地域に生産拠点を移す( )の動きが広がっている。
(7) 英国の離脱の条件を巡るEUとの交渉について、英国側は離脱後の移民受け入れ制限とともに、モノの( )圏の創設を提案したが、EU側は「いいとこ取り」として、示された提案に反発している。
(8) 英国領( )とEU加盟国のアイルランドは地続きで国境を接しているため、英国のEU離脱後は国境管理問題が大きな焦点の一つとなる。
(9) ロシアのプーチン政権はロシア周辺への欧米のリベラルな価値観の浸透を防ぐため、伝統的な価値観を持つ( )の社会における役割を重視してきた。
●一問一答形式問題 (解答編)
(6) チャイナ・プラスワン
(7) 自由貿易
(8) 北アイルランド
(9) ロシア正教
以上です、ありがとうございました!