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ロシア語文法解説NO.6 ~無人称文を詳しく解説~

当記事を覗いていただき、ありがとうございます。

中島です。

 

本日は無人称文についてグループ分けしながら、解説していきたいと思います。

 

無人称文の定義

 

無人称文とは、主格の主語が存在しない文のことを言います。この赤色の12文字の定義は是非、正確に暗記していただければと思います。無人称文と混同しやすい不定人称文(他記事に後述)との違いを明確にすることができます。無人称文は次の3つにグループ分けすることができます。

 

①述語副詞による無人称文

無人称動詞による無人称文

③特殊な無人称述語による無人称文

 

次に、①から順に詳しく見ていきます。

 

①述語副詞による無人称文

(1) Мне жарко.

 (私は暑い。)

(2) Нам было интересно поговорить с ним.

 (私たちは彼と話をして楽しかった。)

(3) Сергею надо больше работать.

 (セルゲイはもっと働かなくてはならない。)

(4) Тебе нельзя входить в эту комнату. 

  (あなたはこの部屋に入ってはいけない。)

 

上記それぞれの例文の下線部の単語が述語副詞になります。

(1)(2)については、"暑い"、"楽しい"という述語に対し、その主語が主格ではないことがわかります。(1)では私自身が物理的に熱を発して熱くなっているからではなく、(2)では私たち自身が明るくて楽しそうにしている性格を表しているわけではないからです。

 

(1)も(2)も外界からの刺激に対し、受動的に感覚を覚えているため、主語は主格にはならないのです。もしこれらを主格にしてしまうと、例えばя интересен となり、まるで私が楽しい人物であるかのようなニュアンスになってしまいます。

 

無人称文には以下の重要な規則があります。

述語副詞の過去形はбыло(中性単数)、未来形はбудет(中性単数)を用いる。

主語は主格ではなく、与格になる。

 

ロシア語の大原則として、「動詞や形容詞は主格の主語の性・数に応じて変化」します。主格がонаの場合、述語動詞や形容詞の過去形は女性形に準じる形で変化し、一方で主格がмыやониの場合、述語動詞や形容詞の未来形と過去形は複数形に準じる形で変化します。

 

しかし、無人称文ではそもそも主語が主格ではない(与格)ため、述語はその変化の基準となる性や数を失ってしまいます。その結果、仮として過去形も未来形も中性形を用いるのです。

 

(1)~(4)の例文を過去形や未来形にすると、以下のようになります。

(1) Мне было жарко.

(2) Нам будет интересно поговорить с ним.

(3) Сергею надо будет больше работать.

(4) Тебе нельзя было входить в эту комнату. 

 

いかがでしたでしょうか。本日は、無人称文の1つ目のグループ「①述語副詞による無人称文」について解説しました。残りの②③は次回以降になります。ありがとうございました!

 

 

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